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はじめに

 私達は、東京電力福島第一原子力発電所「以下、略語として1F(いちえふ)を使います」と隣り合う暮らしの中、原子力事故後の被災地域の未来を創造していくことのお手伝いとして、「怖い」「分からない」が続いている1Fが、より身近に誰もが知れるモノとして知れる環境づくりを目指しています。

 AFW代表の吉川は東京電力社員として約14年、原子力発電所で生まれる放射性廃液と廃棄物を処理する設備の保守管理を行ってきました。そして退職後は、知見や経験を活かし、視察得た情報も含めて、1Fの廃炉の今を伝え続ける取組をしています。

 このページからは、そうした趣旨の基に知り得た情報を共有し、自分の暮らしに必要な方々、原子力事故被災地域への帰還を悩まれている方々、これからの子供たちに歴史として語り継ぎたい方々といった、福島第一原子力発電所の今を必要な方々へお届けするために作りました。

 生活や暮らし・これからの将来に向けて、原子力事故被災地域と廃炉現場は「放射性廃棄物の管理」という点で、これから何十年、何百年とお付き合いしていくと考えています。

 廃炉がどのように進んでいくのか、危険な状態から管理出来る状態へ「何が」「どのように」「誰が」を視点にしてお届けいたします。

はじめにおさえておきたいこと。

1.原子力発電の仕組み
 私達は1Fについて、つい事故後からお話しを進めてしまいますが、原子力発電所の仕組みをすると「ぐっと」廃炉の今への理解が進みます。まずは原子力発電の仕組みから学んでいきましょう。(↓の画像は1Fの1~5号機のマークⅠと呼ばれるタイプのものになります)

 
(福島第一原発廃炉図鑑(太田出版)より引用)

 原子力発電は大きく分けると、原子炉建屋タービン建屋の二つで行っています。原子炉建屋の中には核燃料が装填された原子炉があります。原子炉の中には核燃料が入っています。核燃料が核分裂を起こすと強い熱と放射線を出します。その熱により水を蒸気に変えます。その蒸気は隣にあるタービン建屋に送られます。タービンとは羽根車の事です。そのタービン(羽根車)が蒸気によって回転します。するとその回転力は発電機に伝えられ、ここで回転力が電気へと生まれ変わります。(学校の理科の授業で手回しで豆電球を点ける実験をしたことがありますよね、その手回しを蒸気で行っているのと一緒です)

 回転力(仕事)を終えた蒸気はその後、復水器と呼ばれる蒸気から水へ戻す設備へと送られます。ここでは海水の入った配管が使われます。蒸気から水に戻ると今度は逆にタービン建屋から原子炉建屋へと水が戻ります。
 核燃料の熱を使い、水が形を変えながら循環し、そしてその中でエネルギーを電気へと変換している(運動エネルギ―を電気へ)のが原子力発電の仕組みになります。

 2.抑えて置きたい設備について

「原子炉圧力容器と使用済み燃料プール」
 核燃料が入っている場所は2つあります。一つは原子炉圧力容器の中、もう一つは使用済み燃料プールです。原子炉内の燃料は発電の為に使います、そして車検の様に、原子力の場合13ヶ月以内に1回必ず停止し点検を行い(定期検査といいます)その際に、これまで使い続けてきたパワーが小さくなった燃料を交換します。原子炉と壁一枚を隔ててあるプールが使用済み燃料プールと呼ばれ、その中に今まで使われてきた燃料と、これから使うのを待つ使用前燃料が保管されています。

「原子炉格納容器」
 原子炉圧力容器を取り囲む、構造体を指します。マトリョーシカをイメージしてみてください。形も似ています。一番外のマトリョーシカ(格納容器)をパかっと開くと中に原子炉圧力容器があるイメージです。
 この空間は、原子炉圧力容器内が冷やせなくなり、密閉された空間で水がどんどん蒸気になると原子炉圧力容器が破損することを防ぐため、蒸気を逃がす空間になります。

「圧力抑制室」
 圧力抑制室は原子力発電の仕組みで紹介した画像のうち、ドーナッツ状になっている部分です。ここは原子炉格納容器と繋がっています。原子炉圧力容器の破損を防ぐため放出された蒸気は、この圧力抑制室に入ります。中には水が常に入っており、水に冷やされ蒸気は水に変わり、格納容器の破損を防ぐことが出来ます。

「トレンチ」
 配管や電気ケーブ等を通す地下空間を原子力発電所ではトレンチという言葉を使います。ここでは、蒸気を水に変えるための海水の入った配管が通る場所(太平洋とタービン建屋を繋ぐ地下空間)を指します。海水配管トレンチとも呼ばれます。

3.震災前の福島第一原子力発電所 

東京電力ホールディングス㈱HPより引用 震災前の福島第一原子力発電所

 写真を見ると様々な設備が見て取れます。青い建物が1~4号機の原子炉建屋、緑の建物が5,6号機の原子炉建屋になります。それぞれの原子炉建屋の海側にある横に長い建物がタービン建屋になります。
 蒸気を水に変えるために海水を取り込む取水口(港湾の中の凸凹している凹の部分)と、蒸気を水に戻した後に海水を放出している放水口(白波が立っている場所)です。

 1~4号機が福島県双葉郡大熊町に立地し、5,6号機が福島県双葉郡双葉町に立地しています。

4.原子力事故の概要(詳細については各別項目にて紹介します)
 
 (東京電力ホールディングス㈱ 福島第一原子力発電所視察者向け資料「9月版」より引用」

 福島第一原子力発電所は1~6号機まであります。そのうち水素爆発を起こした号機は1,3,4号機原子炉内の核燃料が溶けたのは1,2,3号機になります。5,6号機は幸いにも、津波被災に遭いましたが大きな事故なく、現在は廃炉が決まり、これまで使ってきた核燃料を使用済み燃料プールに保管した状態となっています。

 水素爆発・燃料溶融・地震によって様々な箇所が壊れた福島第一原子力発電所の1から4号機。それによって汚染水が海に流れ出る経路が生まれました。(詳しくは汚染水対策を参照してください)

5.廃炉とは
 廃炉にはいくつかのステップを踏みます。原子力発電所が耐用年数を超え、また電力事業者が採算が合わない等の理由により原子力発電を辞めようというのが廃炉のスタートです。
 まずは核燃料の取り出しです。原子炉圧力容器内の核燃料を使用済み燃料プールへ、使用済み燃料プールに集まった核燃料をキャスクと呼ばれる容器に入れ、その後、最終保管場へと運びます。 核燃料の取り出しが終わった後は、発電所内の建物を解体していきます。それらは放射線を出す廃棄物ですから、然るべき保管場へと運びだします。
 核燃料は「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、それ以外は「低レベル放射性廃棄物」と呼ばれます。
 さて、大切なポイントは廃炉は原子力発電所を必ずしも、完全無害化して更地に指すという定義ではないことです。例えば今後、放射性廃棄物を発電所構内でやっていこうとなれば更地にはならないということです。

1Fの廃炉とは
 1Fの廃炉は通常の始まりではないことは周知のこと、原子力事故から始まったという点がミソです。溶け落ちた燃料の取り出しは今の技術を持っても大変な作業です。また水素爆発によって振りまかれた放射性物質(放射線を出す物質)により、敷地内に存在するもの全てが放射線を出す廃棄物になります。それだけではありません、放射性物質の飛散を防ぐ(環境汚染を防ぐ)という事が命題になりますから、汚染水対策や大気中への飛散抑制が必須になります。
 働く人達を守る仕組みが重要です。場所によっては近づけば死に至る場所もあります。働く人達を紐解けば、原子力事故に被災された地域の方々、日本中の起業が協力する場所でもあります、そして長期化する廃炉を考えればこれから生まれてくる子供たちも働く場所なのですから。
 そして、通常の廃炉と同様に厳密にここは更地になることが決まっている分けではありません。
 事故により、ただでさえ大変な廃炉作業に困難なプラスアルファがあるのが、1Fの廃炉となります。

・1Fの廃炉を読み解いていくにあたって
  
 基礎的な所を知って頂いたうえで、ここから本来の姿からどう変わったのかを考察していくと、原子力事故がどういった状況を生み出し、また1Fの廃炉がどの様に進んでいるのかが見えてきます。

 海はどう守っているの?
 空はどう守っているの?
 放射線を出すゴミ(放射性廃棄物)はどう管理していくの?
 働く人達はどう守っていくの?
 1Fの廃炉は社会に何を生んでいくの?
 etc

 1Fの廃炉を読み解く時に大切なポイントは「私達の暮らしを如何に安全に安心に続けていく」ために、沢山の「?」を見つけ、発電所内で様々に起こっていることがどう繋がっているかを基礎から考察していくことと思います。
 
 AFWが掲げる「暮らしの視点」から。

 皆さんが暮らしの視点で1Fを自分の言葉で語れるよう、1Fの廃炉の今をお届けしてまいります。

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