止まらない福島第一原発ヒューマンエラー

2013年10月13日

その他

長くなりますが、是非最後までお読みください。

福島第一原発の止まらないヒューマンエラーを起因とするトラブル

どの報道を見ても「東電の危機管理能力が問われる」という〆かた・・
こういった報道しか流れないのは現地への切り込みが足りない良い証拠です。

問題の本質が見えてない なのにどんどん想像の域で報道をすることは
それを見た国民がそれが実情だと勘違いしてしまい、はてはそれが真実扱いされてしまいます。

士気の低下は原因の一つでしかありません。原因は複数存在します。
それぞれが複合し結果、トラブルに通じるという事を分かって頂きたいと思います。

士気の低下は何が起因となっているか
1.社会と現場での認識のずれです。過酷さがいまいち一般の方に伝わらない。
  高レベル放射能を扱う不安、作業環境の過酷さ(夏場の暑さと冬の寒さ)
  マスクを着用することで体力的つらさ
2.社会的に評価されない職場
  解決する問題に対して報酬と評価が低い
  報酬とは単純には給与、広義的に言えばあらゆる福利
  評価は賛美されることも稀、応援の手紙すら今では届かない、作業員に見え
  る形で伝わっていない。
3.体力及び精神面の疲れ
  毎日の長時間通勤と作業自体により体力的な疲れが続く
  先の見えない廃炉の状況は現状が改善されない事を指す
  作業員には被災者も多い。被災者生活と作業員の二重苦になっている。
  危険手当のピンはねも横行し、賃金が低いことも精神的苦痛になっている。

共通するものだけでも、士気の低下になる要因はこれだけあります。
個人事には、更に増えるでしょう。

士気の低下だけが原因ではないので、列挙します。

まず現場の管理能力について

これをお話する時に重要な問題があります。それは原発の現場管理とはどういったものかという事。
本来の施工不良による責任は作業を請け負った企業側にあります。
えっ東電じゃないの?と思う人が多いと思います。
分かり易くいうと、皆さんが家を建てる時ハウスメーカに頼みますよね。
その時、家を建てている段階で事故が合った場合、皆さんに責任はありません。
これは納得できますね。こういった関係を発注者と請け負い者といいます。
原発労働も同じです。
東京電力は発注者であり、皆さんが下請けと呼ぶ方々は正しくは請負会社です。
皆さんが一次下請けと呼ぶのは「元請け会社」といいその元請け会社の下にぶら下がるのが「一次下請け会社」となります。
ハウスメーカーが元請け、大工さん、壁屋さん、屋根屋さん、設備屋さんが下請けとなります。
よって本来正さなくてはならないのは、元請け会社の危機管理能力になります。

こう書くと、じゃ東京電力に責任はないのか?といった事になります。
当然あります。それはやっぱり原子力というのは特別な産業で発注の段階で
元請け企業が安全に作業できるように配慮した発注をするということ。
そして作業現場が自分達の設備ですから、協力して安全管理をするという事です。
作業前には、作業手順書、要領書という物を企業側に提出してもらいます。
言わばお約束ですね。こういった手順でやりますといった物に東京電力社員は
社員だから分かる問題を指摘する事が求められます。
震災前は決まった仕事を熟練の企業が行いますから、基本的に指摘することは殆どありません。それは似た仕事を同一の企業に長年作業して頂いた事で過去のトラブルで得た知見が反映されているからです。
これが上手くいかないと、承認された手順によっては間違いを起こすことがあります。
震災後に新たに入った大手ゼネコンなどは一からの作りですから、既存の熟練企業とは違った物が提出されているはずです。
なんせ放射能を扱う作業自体にも大変不慣れなはずですから。
また、私もそうですが現場の実情を覚えるには時間がかかりました。何度も現場に足を運び、作業員と話をし、少しずつ培っていくというもの。14年仕事をしていましたが分からない作業も沢山ありました。それほど現場で覚えることは多いのです。作業員の方々に教えてもらう事は絶えませんでした。
つまり東電社員は現場の事については、作業員の方と雲泥の差があるという事です。
しかし、作業してもらう設備の知識はあります。いかに安全に設備を止めるか。
これは逆に作業員の方は分かりません。
作業の為には、設備を止めるこれが大前提です。広大な設備は複雑に絡み合い、ちょっとした作業でも時には設備を大きく止めなければなりません。
それを行える知識を有するのが社員となります。
あくまで補足するのが社員のお仕事です。

皆さんが想像している安全管理とは現場の現場監督のイメージだと思います。
現場監督は元請け企業の方が行います。作業が複数に及びますから通常は作業班長さんとなります。複数現場を統括する現場監督と班ごとに班長が現場の安全管理を行います。
東京電力社員はその監督もしくは班長が安全管理をしっかりやっているかを
見張るというのが実情です。
この見張るというのが東電社員の現場管理です。

ですから現場のトラブルについては、現場請負企業と東電社員の両方に責任があるというのが正しい見方です。

現場の管理が上手くいっていない原因は
元請け企業側では、作業に適した手順書、要領書が作れていない。もしくは作れていても守らない作業員達になっている。
現場監督者の管理が行き届いていない。
東京電力側では、作業に適した手順書、要領書になっていない事が見抜けない。見抜けない社員達が増えている。

という事が考えられます。

それと私が東京電力側に強く言いたいのが作業員が安全に作業できる環境を作っているのか?という事です。
これを原発では「アイソレ」と言います。「アイソレーション」の略です。
?マークが出ますよね。これは日本語にすると「隔離」と言っています。
原発で使う特殊用語ですが、皆さんに分かり易く表現すると「作業員が作業を行うのに安全な状態を作りあげる」というものです。
簡単な例で言えば、電源設備を扱う場合、作業の為に電源を落とす、つまり関電防止です。
汚染水タンクのホースの件で言えば、ホースを付け替える=水が漏れる、想像がつきますよね。そういった場合、先に水を抜いておくか、弁を閉める事で隔離する。このアイソレは水漏れ防止と作業員が濡れて被ばくすることを防ぐ目的で行います。
東電社員の現場での安全について100%責任があるのは、このアイソレの部分になります。作業本体への責任は前述したように請負企業側です。
現場管理をしていた私の考えでは、段取り8分、アイソレがしっかりしていれば
後は現場作業のプロ(請負企業)に任せるといったものです。
それほど、アイソレが完璧なら基本的にトラブルは起きません。
防ぎようのないヒューマンエラー(猿も木から落ちる的なもの)を除きますが
このアイソレが出来る社員はやっぱり現場を熟知した人が多いです。あらゆる方向性から作業員が危険にならないかを考えるからです。経験が物を言います。
原発社員を守らなくちゃいけないってことは実はこの部分を重視しています。
熟練者が辞め、若い世代も辞めてしまう。
この部分は根気よく人を育てていくしか改善の方法がないからです。
ここは東京電力側できちんと対処しなければいけないでしょう。

長くなりますが、もう少しお付き合いください。

では、現場の作業員側の問題の原因はというと
以前から何度もお伝えしていますが、作業員の質の低下です。
低下には二つあります。

一つは作業技術と知識、もう一つはモラルです。
これらが低い作業員の割合が増えすぎているのです。

震災後、作業員の移り変わりは酷いものです。
熟練の作業員は元々現地の方が圧倒的に多い状況でした。それが被災者になったこともあり、震災後の原発作業をプライベートの問題も含みで続けられなくなり辞めてしまいました。
その穴を埋める形で全国から原発未経験者が送りこまれています。

全国から集められる作業員達が皆悪い分けでは決してありません。しかし福島原発の状況は報道でも伝わる通り過酷なものです。放射能不安も大きいでしょう。結果、全国から集められた人達の中で、原発作業を本来行うには適さない人材が多いのが現状です。

では、この問題はどうして起きてしまうのか
一つは熟練の作業員を守る構造がないことが挙げられます。
熟練の作業員達の多くは原発被災者です。被災者の支援が足りていません。
例で言えば、居住の問題すら解決されていないのです。
また、働く場所がないのです。現在の福島原発の廃炉作業の多くは大手ゼネコンの作業になります。仕事がなければ他に求めるしかありません。
しかし、全国の原発が停止している今、逃げ場がないのが実情です。結果他産業への転職をするしか生活を守る方法がありません。
賃金の問題もあります。故郷を奪われた彼らの心情からすれば、震災前まで耐えられた賃金では割に合いません。それは震災前からさほど賃金の高い職場でなかったことが挙げられます。
辞めるには十分な環境が整ってしまっているのです。

同様に全国から集められた作業員へのケアが足りていないのも問題にしなければいけません。
正直な気持ちは、原発に来てくれるだけありがたいのです。
どんな作業員も最初は未熟です。定着することでいずれ熟練者になります。
賃金のピンはねもなくさないといけない。
震災後に集まった人達なので住む場所がない。居住環境を作ってあげないといけない。
放射能を扱う、原発という特殊な分野の作業を教える場所が必要。
長期に働いていける線量的な問題の解決と仕事量の発注
福島原発で安心して働いていける、長く働いていける環境を整備することが求められています。

文章として長くなりましたが、続くヒューマンエラーの原因が決して士気だけの問題ではなく、複雑なものであるという事は伝わったと思います。

一つ改善すれば収まるようなものではありません。
どれも大切な問題で、かつ解決するには東京電力、国、原発関連企業だけでは難しいのです。
私達民間も原発で働く人達を支えていく社会を作っていかなくては問題があります。

本質を改善していかなければ、永遠と続くことになります。

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