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廃棄物対策

福島第一原子力発電所はこれから廃炉という道を歩んでいきます。廃炉のゴールはどういった状態を指すのでしょうか。AFWでは廃炉講座や講演会で必ずこの質問を投げかけます。

その時、答えはまちまちです。一番多いのは更地にすること(発電所が完全無害な言うなれば子供たちが遊べる公園のような風景)です。ほかにも最も高い放射線を出す核燃料を安全に取り出すことが出来たら、次に完全更地にならなくても発電所が解体片付けが済んだらと様々な意見があります。

「はじめに」にでも書きましたが、どうなったらゴールであるのかは現在の所決まっていません。その一因になっているのが、放射線を出すゴミが廃炉で今後生まれて、それをどの様な形で何処で処理するかが明確に決まっていないからです。

例え話をしてみましょう。化学物質を扱ってきた工場があります。そこをもう使わないとなりました。その時に人体を影響を与える化学物質の処理の方法等が決まっていない状態で、解体・更地に出来るのかということに似ています。

さて、未だ決まらないとは言え、どの様なゴミが発生し、現在の管理方法はどうしているのか、それを解説していきたいと思います。まずはそれらを理解するために基本について述べていきます。

1.液体・固体・気体 3つの放射性廃棄物
原子力発電所で生まれる廃棄物は、特別なゴミとして扱われます。これは放射性物質に汚染している可能性があるというのが前提になるからです。震災前の話になりますが、例えば敷地の中に運ばれた物は厳しく管理され、勝手敷地の外へ持ち出すことが出来ませんでした。それは事故後の今も同様です。

廃棄物は3つの形態に大きく分けて管理されます。それが気体・液体・固体です。それぞれに何が含まれるのかについて述べていきます。

・気体放射性廃棄物
ここが一番理解が難しいと思います。ここで指す気体とは現在においては、原子炉内の再臨界(再度核分裂反応が連鎖的に起きること)の兆候を知ることが出来るように引っ張り出す、原子炉周りの空気を指します。臨界になると特別なガスが発生します。そのガスはキセノンと呼ばれる放射性物質を含みます。
キセノンが出たら核分裂反応の連鎖が始まっている、急いで停めるぞと、連鎖反応を停める「ホウ酸」という物を注入します。
さて、そうした大切な臨界管理で引っ張り出している空気は、放射性物質を含みます。それを放射性気体廃棄物と呼んでいます。この処理はフィルターを通し浄化して大気中へ放出する手段を取っています。

・固体放射性廃棄物
ここが一番種類が豊富です。皆さんがまず思いつくのが核燃料ですね。次に思いつくのが瓦礫類ではないでしょうか。ここで大切なポイントは福島第一原発は原子力事故を起こした分けですから、発電所の敷地に存在する全ての固体がここに入る分けです。
建物一つを細分化するとどうでしょう。くらくらするぐらい物に溢れています。
えっこれなの?となるものに、防護服が含まれます。働く人達が着ている白い服です。防護服は実は紙製です。毎回使い捨てになっています。それだけじゃありません。手袋関係も使い捨て。6年半に渡って数千人が働いてきた職場です。大量の防護服関連のゴミが溜まっています。
また、立ち並ぶ浄化した汚染水を蓄えているタンクはどうでしょう。あれもいずれはゴミになるものです。タンクを作るスペースの為に切った樹木は?これもです。
そして、汚染水を浄化するために使用されるフィルターの様なもの(2次処理廃棄物と呼ばれ、固体名称としては吸着塔と呼びます)も、ここに入ります。

整理して、大別すれば、燃料(溶け落ちた燃料と使用済み燃料)、解体に伴い発生する瓦礫類、伐採木、防護服関連、生活ごみ、2次処理廃棄物(吸着塔類)になります。そしてそれらも、不燃、難燃、可燃と分けなければなりません。

・液体放射性廃棄物
ここは皆さんが持つイメージそのものになります。汚染水がここに該当します。

さて、こうした形態で分けられる放射性廃棄物たちですが、もう2つ大切な観点があります。

2.放射線の強さで分類分け
各々、発している放射線の強さが違う点です。高ければ高いほど、厳重な管理が必要ですし、例えば放射線を出すとしても環境に影響を及ぼす度合いが著しく低い物などは一般廃棄物の様な処理が可能と考えられます。
放射線を出す強さで管理方法を分けるという考えです。例えば、同じ瓦礫類でも高い物と低い物は管理方法は変えていかないといけないということになります。

3.減容化を図る(体積を小さくする)
皆さん、家でゴミがいっぱい溜まってきたらどうしますか。例えば「空き缶」、普通これをゴミ袋に沢山入れるとしたら潰しますよね。小さく潰せば潰すほど(体積を減らすほど)沢山ゴミ袋に入る分けです。
こうした処理の事を専門用語で減容化といいます。置き場に困りますから、発電所の中でも減容化ということを行います。
特に減容化が顕著な方法として、可燃物の焼却処理が挙げられます。可燃物を燃やすと約1/40くらいになると言われています。
ゴミの問題は震災前から抱えていた問題です。防護服関連のゴミはいつも課題でした。その為、発電所の中に放射線を出す可燃物専用の焼却設備が可動していました。

現在、福島第一原子力発電所の廃棄物の管理はどう進んできたのか。まとめていきたいと思います。



(出典:第一回 福島第一廃炉国際フォーラム 平成28年4月10日(日)~11日(月) 福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置で発生する固体廃棄物の管理について)

こちらは第一回福島第一廃炉国際フォーラム(平成28年4月10日(日)~11日(月))にて、公表された資料になります。廃炉で発生する廃棄物が形態と放射線の強さで分類され、まずは敷地内で管理されている様子が伺えます。

ここで注意なのが、屋外集積場に集められたごみ類については、現在急ピッチでコンテナ詰めが行われています。写真のイメージとは変わりコンテナ集積がされていると視察時に伺っています。

(出典:第一回 福島第一廃炉国際フォーラム 平成28年4月10日(日)~11日(月) 福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置で発生する固体廃棄物の管理について)

またこのフォーラムの際に、これから発生するであらう廃棄物の量と、減容化を進めていくことで推定される最終的な体積量が示されました。何も手を打たなければ70万m³を超える廃棄物がでますが、減容化を進め、15万m³は減容化し、敷地内に増設していく固体廃棄物貯蔵庫へ保管し、約20万m³は屋外集積を図るという内容です。


(出典:第二回福島第一廃炉国際フォーラム 2017年7月3日福島第一原子力発電所における廃炉・汚染水対策の現状と今後の課題)

そうした取組と計画が挙げられた廃棄物管理は今後どうなっていくのか。2017年7月2日,3日に開かれた第二回福島第一廃炉国際フォーラムでは、現在取り組んでいる減容化処理と廃棄物管理について報告がなされました。

廃棄物処理・管理を集中して行うエリアが、発電所式内の北側エリアに作られつつあります。現在は森を切り開き、土地を醸成している段階です。このエリアの中で既に建物が立てられ可動しているのが、図の右上にある「雑個体廃棄物焼却設備」です。

ここでは主に防護服関連の可燃物が焼却減容されています。

まとめますと、事故当時敷地内に散乱していた瓦礫などは分類分けされ、放射線量に応じて管理が進んできました。今後は発生するゴミの体積を如何に小さくしていくのか、それを現実のものとするために、専用の処理施設群の建設が進んで行きます。

 

 

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